その昔日本がまだ貧しかった時代、東北の農村地帯から夜行列車に乗って遠路遥々東京へ出稼ぎへ出た。最初に降り立ったのは上野駅・・・なんて話を聞いたことがあると思います。まだまだ経済成長の途中であるタイの首都バンコクでは、日本では既に過去になったこの物語が現在進行形で繰り広げられています。その舞台となるのがここファランポーン駅です。タイの中でも最も貧困地帯であると言われている東北部のイサーンから鉄道でやってきた出稼ぎ労働者達が最初に降り立つのがファランポーン駅なのです。
夜のファランポーン駅正面
昼間は人でいっぱいのこの駅前も、夜になると閑散としてしまいます。そんな中、駅前の人場にゴザを敷いて焼酎とソムタム(イサーン郷土料理のパパイヤサラダ)を売る女達が現れます。ソムタム娘です。(とはいってもおばさんの方が多いのですが・・・)
ゴザを敷いて焼酎とソムタムを売る
ソムタム娘たち
このソムタム娘達の殆どはイサーン出身です。同じイサーン地方から出稼ぎにバンコクに出てきた肉体労働者に焼酎とソムタムを売るために夜な夜なこの場所に小さな店を開くのです。この娘たちですが、なんと売春も兼ねています。客は気に入った娘の店に座り酒を飲みながらソムタムをつつき、会話を楽しみます。上手く話がまとまれば近くのホテルへ・・・・というのが流れの様です。基本的にタイ人を相手にしている商売なので日本語はおろか、英語も通じないということで完全にローカルな遊びに分類されるでしょう。しかし、何事も経験です。20歳位の日本でも通用しそうな綺麗目なお姉さんが居たので、そのお店でお酒を注文してみました。
「ヤードーン」という名の手製焼酎(密造酒)
一緒に漬ける薬草から出る色素のため赤い
色をしている。とても飲みやすい味。
「How much is it for one shot?」は案の定全く通じませんでした。値段も分からないままショットグラスに焼酎が注がれます。これがかの有名なヤードーンです。イサーンの村で密造している酒で、体には・・・・多分良くないでしょう。毎日飲む訳では無いので今回は気にせず飲むことにします。このお酒は製造段階で薬草が漬けられていて、滋養強壮に良いとされています。チンポコピコピコの酒とでもいいましょうか。このお酒と水を交互に飲むのが一般的な飲み方の様です。お姉さんがいつの間にか近くにいたホームレス(?)を使いにやったようで、身なりの汚いお兄さんがコンビニからミネラルウォーターを買ってきてくれました。
密造したヤードーンは既製品のビンを再利
用したものに詰められている。これ1瓶で
おおよそ100バーツ(300円程度)が相場。
お姉さんと一緒に水とヤードーンを交互に口に運んでいきます。やはり若いからか、簡単な英単語なら通じて意思疎通が出来ました。但し英会話レベルの文章の長さで話すと通じないので、意識して簡単な単語の組み合わせで話すようにしました。それでも通じないときは携帯に英単語を打って見せると通じたりしました。名残惜しかったのですがこの後地元の友人と食事をする約束があったので、最後に写真を撮らせてもらいファランポーンを後にしました。
20歳位と思っていたら25歳とのこと。隣の
店のオバサン達との一枚。
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